奨学金返済は月いくら?手取りから逆算する無理のない返済計画の立て方
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社会人になってしばらく経った頃、JASSOから届く「返還のお知らせ」。封を開けて返還月額と返還年数が並んだ数字を見た瞬間、「これ、毎月の手取りで払えるの?」とスマホの電卓で生活費を足し始めた人はけっこう多いはずです。大学4年間で借りた額が200万なのか400万なのかで月の返済額は大きく変わるし、家賃や食費を差し引いた残りでやっていけるかは、実際に数字を並べてみないとわかりません。
結論:月額返還は平均16,880円、手取りの8〜11%が14.7年続く
JASSO(日本学生支援機構)の調査によると、奨学金の月額返還額は平均16,880円、平均返還期間は14.7年です。
大卒初任給の手取りを約20万円とすると、返済は手取りの8〜11%にあたります。生活が破綻するほどの重さではないけれど、14年以上にわたって毎月引かれ続ける金額を家計に織り込んでおかないと、じわじわ効いてきます。
貸与総額でここまで変わる — 月の返還額シミュレーション
月額返還額は、借りた総額と返還期間で決まります。第二種奨学金(有利子・固定方式年1.005%)の場合の目安がこちら。
| 貸与総額 | 月額返還額 | 返還期間 | 総返還額 |
|---|---|---|---|
| 100万円 | 7,744円 | 11年 | 約102万円 |
| 300万円 | 15,200円 | 17年 | 約310万円 |
| 500万円 | 21,651円 | 20年 | 約520万円 |
出典: JASSO 奨学金データ集 / 第二種・固定方式(年1.005%、2024年1月貸与終了者)で筆者試算
高等教育を受ける学生の32.2%、約115万人がJASSOの奨学金を利用しています。返済は少数派の話ではありません。
300万円台を借りた場合、月の返還額は約1.5万円。「スマホ代+サブスク1〜2本」くらいの感覚ですが、17年続くと考えるとそれなりの存在感です。
手取り20万円に奨学金を組み込んだ月次家計
ここが他の記事にあまりない視点。大卒初任給の手取り約20万円(厚生労働省・令和6年賃金構造基本統計調査をもとに概算)から、一人暮らしの主要な支出と奨学金返済を並べてみます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 手取り(1年目) | 約200,000円 |
| 家賃 | 70,000円 |
| 食費 | 40,000円 |
| 水道光熱費 | 12,000円 |
| 通信費 | 6,000円 |
| 交通費 | 15,000円 |
| 交際・娯楽 | 18,000円 |
| 日用品・衣服 | 10,000円 |
| 生活費小計 | 171,000円 |
| 奨学金返済 | 15,000〜22,000円 |
| 残余(貯蓄・投資) | 7,000〜14,000円 |
出典: 手取りは厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査(大卒初任給 男性25万1,300円・女性24万4,900円)より社保・税控除後の概算。生活費は総務省家計調査をもとに筆者配分
奨学金を月1.5万〜2.2万円返済しても、貯蓄に7,000〜14,000円は残る計算です。正直、余裕たっぷりとは言えない金額。でも「返済したら貯金ゼロ」にはならない、というのがこの表のポイントです。家賃を6万円台に抑えるか、通信費を格安SIMに切り替えるだけで数千円の余白が生まれます。
手取りの内訳を細かく知りたい人は、初任給の手取りと予算の組み方を先に確認しておくと全体像がつかめるはず。
奨学金がない場合の貯蓄ペースとの比較はこちら。
あわせて読みたい社会人1年目の貯金は月いくら?手取りから逆算する現実的な始め方
定額返還と所得連動返還、どちらを選ぶ?
第一種奨学金(無利子)を借りた人には、返還方式を2つから選ぶ権利があります。
| 比較項目 | 定額返還 | 所得連動返還 |
|---|---|---|
| 対象 | 第一種・第二種 | 第一種のみ |
| 月額の決まり方 | 貸与総額と期間で固定 | 前年課税所得の9% ÷ 12 |
| 収入が低い時期 | 月額は変わらない | 月額が自動的に下がる |
| 返還期間 | 固定(最長20年) | 所得に応じて変動 |
| 方式の切り替え | 所得連動→定額は可能 | 定額→所得連動は不可 |
所得連動返還なら、年収300万円で月約8,600円、年収450万円で月約15,400円と、収入に合わせて返済額が変動します。収入がまだ低い20代のうちは負担が軽くなる設計なので、将来の収入に不確実性がある人ほど恩恵を受けやすい仕組みです。
返還方式の選び方
所得連動は第一種(無利子)のみが対象。第二種を借りている人は定額一択です。第一種で、就職先の業種や働き方に不確実性がある場合は所得連動で始めるのが安心。あとから定額への切り替えはできますが、定額から所得連動には戻せません。迷ったら所得連動を選んでおくのが無難です。
返済がきつくなったら — 知っておきたい3つの制度
延滞者の調査を見ると、問題の根っこは「収入の不安定さ」に集中しています。
出典: JASSO 令和4年度奨学金の返還者に関する属性調査
延滞理由の最多は「本人の低所得」で62.9%。非正規雇用の割合が高いほど延滞リスクも上がる構図が見えてきます。収入が不安定な時期こそ、放置せずに制度を使うことが大切です。
- 減額返還 — 月額を2/3・1/2・1/3・1/4に減額できる。年収400万円以下が条件。返還期間は延びるが、総返還額は変わらない
- 返還期限猶予 — 経済困難・傷病・災害時に返還を最長10年間止められる。総額もそのまま
- 企業の代理返還制度 — 勤務先がJASSOに直接返還してくれる仕組み。導入企業は4,852社、利用者は13,421人で年々増加中
出典: JASSO 減額返還制度 / JASSO 企業の奨学金返還支援
注意
延滞が3か月以上続くと、個人信用情報機関に事故情報が登録され、5年間はクレジットカードの新規発行やローン審査に影響が出ます。「少し遅れても平気だろう」が一番危ないパターン。返済が厳しいと感じた時点で、延滞する前に減額返還を申請してください。
減額返還の申請条件
年収400万円以下(給与所得者)、または年間所得300万円以下(それ以外)が対象。JASSOのスカラネット・パーソナルからオンラインで申請できます。1年ごとの更新制で、最長15年間利用可能。審査に数週間かかるため、返済が厳しくなりそうな段階で早めに手続きを始めましょう。
よくある質問
Q. 奨学金は繰上返還したほうがいいですか?
第二種(有利子)なら繰上返還で利息を減らせますが、利率は年1%前後と低水準。先に生活防衛資金(生活費3か月分)を確保するほうが優先度は高い。防衛資金を積んだうえで余裕があるなら繰上返還に回すのが合理的です。第一種(無利子)は繰上返還しても総額が変わらないので、急ぐ理由はありません。
Q. 延滞するとどうなりますか?
延滞金(年3%)の加算から始まり、3か月以上で個人信用情報に登録(いわゆるブラックリスト入り)、9か月以上で法的手続き(支払督促・強制執行)に移行する可能性があります。延滞前に減額返還や猶予を申請すれば回避できるので、滞納する前に動くのが鉄則です。
Q. 転職先に代理返還制度があるか調べるには?
JASSOの公式サイト「代理返還 対象法人検索」から企業名で検索できます。求人票に記載がない場合もあるため、面接で福利厚生として確認するか、人事部門に直接問い合わせるのが確実。導入企業は4,852社で年々増加しています。
まとめ
奨学金の月額返還は平均16,880円。手取り20万円の一人暮らし家計に組み込むと貯蓄余地は薄いけれど、返済と貯蓄の両立は数字の上では可能です。返還方式や減額制度の存在を知っておくだけで、「延滞して信用情報に傷がつく」という最悪のシナリオは避けられます。
月1.5万円は、たいへんだけど「なんとかなる」側の金額。まず自分の貸与総額で月いくらか確認して、家計の枠に入れてみてください。
本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、個別の返還相談を行うものではありません。返還に不安がある場合は、JASSOの返還相談窓口(0570-666-301)にご相談ください。

